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2006年9月29日 (金)

「秋山清紀行 9」

 秋山は詩人・金子光晴と親近なる関係であった。年齢は金子が九歳上だ。一九三五年、秋山三二歳の時、牛込の金子宅を訪ねたのが最初の邂逅だった。爾来、戦前は雑誌『詩原』を、戦後は『コスモス』をふたりは一緒にはじめるというように詩をめぐる関係が続くことになる。秋山の記念すべき第一詩集『象のはなし』は、金子の編集によるものだ。秋山は、金子の多くの詩集、著作の編集に関わっている。「秋山清は、金子光晴の生活についてもっともよく知っている詩人のひとり」(吉本隆明)であったからなのか、例えば、金子没後三年に編まれた、『現代詩読本・金子光晴』の巻頭座談会で、他の出席者・田村隆一、飯島耕一がともに終始一貫、「金子さん」と発言しているのに対して、秋山は「金子」と敬称なしで押し通している(後半で数箇所ほど“さん”づけをしているが)。実際にはどうお互いに呼び合っていたかは分からない。だが、年齢差を越えて、敬称なしで応答できる率直な関係だったに違いないと、秋山のいい方は思わせる。そしてそれは金子が秋山を評してこう述べていることにもいえることだ。
 「彼と僕のあいだにマサツはあまりない。秋山も、僕も、人間を額面だけで認識していないからだ。」

(「秋山清ワールド・秋山清著作集Website」、『図書新聞』06.10.7号)

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