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2006年8月25日 (金)

「秋山清紀行 8」

 七八年十二月、新宿で北冬書房の忘年会が催された。映画監督(鈴木清順)、美術家(赤瀬川原平)、漫画家(つげ義春、林静一、かわぐちかいじ)たちと並んで和やかに年の暮れを過ごす秋山清がそこにいた。『反逆の信條』の「あとがき」で「七二年秋から私は、戦後に加わっていた団体の会員や同人などというものの一切から自分を退かせた」と述べている。理由は「ひとり、になって……自由にふるまってみた」かったからだ。出席者が十数名と小さな集まりであったからかもしれないが、秋山は誰よりも楽しそうに饗に応じていた。秋山と鈴木清順はその時はじめて邂逅したのではない。七二年、大杉栄追悼講演会で、秋山が司会を、鈴木が講演をしている。また、鈴木のエッセイ集『夢と祈祷師』では巻末対談(「漂泊の思想」)を行っている。この対談で秋山は、「若い時にはたいていの者が漂泊してみたいという気分になった経験があると思いますけれど、それは自分の住んでいる社会に対する異和感とか反感のようなもので、それは本当は人間として大事にしなくてはいけないものだと思うんです」と語っている。鈴木清順やつげ義春らに囲まれながら秋山清は、そんな思いで「流浪のうた」をみんなの前で披露したに違いない。

(「秋山清ワールド・秋山清著作集Website」、『図書新聞』06.9.2号)

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